残留農薬とは
農作物に使用される農薬は、その量の多少に関わらず残っています。
その残った農薬を残留農薬といい、残留の仕方にはいろんなタイプがある。
もっとも身近なものにプレハーベスト農薬といわれる農作物の収穫前に使用される農薬、ポストハーベスト農薬といわれる農作物の収穫後に使用される農薬。
それらが、スーパーなどの市場に流通する段階でも食料品に残っている農薬で、メディアなどでも取り上げられ関心の高い残留農薬。
市場の段階でも農薬が残っているので、家庭はもちろん、レストランや弁当、惣菜などの外食に使用される食料品にも残留する。
国内産の農作物にはプレハーベスト農薬しか使用できないようになっていますが、外国産(輸入品)にはプレハーベスト農薬はもちろん、日本に輸送される間にポストハーベスト農薬が使用されています。
このほか農作物の栽培に使用されるプレハーベスト農薬は、その80%以上が土壌や空気中あるいは河川にドリフト(拡散)します。
ドリフトした農薬は、微生物や昆虫、川魚、魚介類にも影響を与える可能性があります。
そして間接的ではあるものの、残留農薬の付いた餌を食べる家畜などにも影響が及ぶ可能性があります。
しかしこれらは法によって規制されています。
農薬や市場に並ぶ前の農作物の残留農薬などに関するものは、農林水産省の農薬取締法。食料品に関する残留農薬は、厚生労働省の食品衛生法の残留農薬基準で規制される。
農薬は食品にどれだけ残留しているのか
食品への残留農薬の調査は、厚生労働省によって行われ、その結果が公表されています。
調査方法は、
- 国民栄養調査に基づいて作られた、平均的な家庭の献立を作成。
- その献立を元に、マーケットバスケット方式による農産物や飲料水を含めた、穀類、魚介類、肉類、卵類などの14種類の食品を購入。
- 通常の調理方法によって調理したものに、農薬がどれだけ残留しているか分析。
- その献立で検出された残留農薬の合計を、1日の摂取量として算出。
その調査によると、表のような結果が出ている。
表).一日摂取量調査結果(平成3〜15年)
(いずれかの食品群において検出された農薬)
| 農薬名 |
用途 |
平均1日摂取量 (μg) |
ADI(注) (μg/50kg/日) |
対ADI比 (%) |
| 1. DDT |
殺虫剤 |
1.49〜2.97 |
250 |
0.59〜1.19 |
| 2. EPN |
↑ |
1.26〜2.82 |
115 |
1.16〜2.46 |
| 3. アジンホスメチル |
↑ |
1.71〜3.21 |
250 |
0.68〜1.28 |
| 4. アセフェート |
↑ |
1.37〜21.93 |
1,500 |
0.09〜1.46 |
| 5. エンドスルファン |
↑ |
2.35〜3.46 |
300 |
0.78〜1.15 |
| 6. カルバリル |
↑ |
2.09〜4.48 |
1000 |
0.21〜0.45 |
| 7. クロルデン |
↑ |
1.91 |
25 |
7.62 |
| 8. クロルピリホス |
↑ |
1.07〜2.16 |
500 |
0.21〜0.43 |
| 9. クロルピリホスメチル |
↑ |
0.95〜2.17 |
500 |
0.19〜0.43 |
| 10. クロルプロファム |
除草剤 |
2.14〜4.22 |
5,000 |
0.04〜0.08 |
| 11. ジクロラン |
殺菌剤 |
1.89 |
500 |
0.38 |
| 12. ジコホール |
殺虫剤 |
1.17〜2.42 |
1,250 |
0.09〜0.19 |
| 13. シペルメトリン |
↑ |
2.59〜21.62 |
2,500 |
0.10〜0.86 |
| 14. ジメトエート |
↑ |
1.60〜3.04 |
1,000 |
0.16〜0.30 |
| 15. 臭素 |
↑ |
6038〜8150 |
50,000 |
12.08〜16.30 |
| 16. バミドチオン |
殺虫剤 |
20.89 |
400 |
5.22 |
| 17. フェミナホス |
↑ |
1.52 |
40 |
3.81 |
| 18. フェニトロチオン |
↑ |
0.77〜7.12 |
250 |
0.31〜2.85 |
| 19. フェントエート |
↑ |
1.26〜4.06 |
75 |
1.67〜5.41 |
| 20. フェンバレレート |
↑ |
2.13〜45.07 |
1,000 |
0.21〜4.51 |
| 21. フルフェノクスロン |
↑ |
4.17〜5.02 |
1850 |
0.23〜0.27 |
| 22. プロパルギット |
↑ |
1.71 |
500 |
0.34 |
| 23. プロチオホス |
↑ |
1.26〜2.35 |
75 |
1.69〜3.13 |
| 24. ヘプタクロル |
↑ |
1.37 |
5 |
27.31 |
| 25. マラチオン |
↑ |
1.03〜2.16 |
1,000 |
0.10〜0.22 |
| 26. メタミドホス |
↑ |
1.37〜3.72 |
200 |
0.69〜1.86 |
| 27. メチダチオン |
↑ |
1.16 |
75 |
1.55 |
| 28. メトブレン |
↑ |
9.41 |
5,000 |
0.07 |
(注)ADIについては
農薬摂取量と基準を参照
この結果を見るとやはり残留農薬は検出されています。
ただ、基準を超える残留農薬はなかったのは救われますが、これらの残留農薬が体の中でどうなるのかが心配されます。
残留農薬が検出された食品
ポジティブリスト制がスターする前の平成15年から平成17年の東京のデーターのため、改正前の食品衛生法で規制されている83種の農薬に限られるが、以下の食品から残留農薬が検出された。
しかし、この調査では規制値を超える農薬は検出されず、その値のほとんどが1ppm(しそのみ3ppmを超える)を下回っている。
| 産地 |
種類 |
品名 |
| 国内産 |
野菜 |
キャベツ、キュウリ、しそ、チンゲン菜、トマト、にら、 白菜、パセリ、馬鈴薯、ピーマン、ほうれん草、水菜、レタス |
| 果物 |
伊予柑、梨、ブドウ、メロン、リンゴ |
| 外国産 |
野菜 |
アボガド、インゲン、枝豆、オクラ、かぼちゃ、きぬさや、スナックエンドウ、セロリ、レモン |
| 果物 |
イチゴ、オレンジ、柿、クランベリー、グレープ、グレープフルーツ、 スウィーティ、チェリー、バナナ、ポンカン、マンゴー、メロン、ライチ |
ポジティブリスト制がスタートした、平成18年以降のデーターはまだあまりないが、残留農薬が検出される品目は更に増えることが予想される。
ちなみに平成14年厚生労働省発表の、農産物の残留農薬の検査結果による統計は以下の通り。
| 農産物の残留農薬検査の統計結果 |
畜産物の残留農薬検査の統計結果 |
- ●検査数
- 910,989件
- ●検査対象農薬数
- 320農薬
- ●農薬検出数
-
総計: 3,282件(0.36%)
国産品: 868件(0.44%)
輸入品: 2,414件(0.34%)
- ●基準値を超えた数
-
総計: 110件(0.03%)
国産品: 27件(0.02%)
輸入品: 83件(0.03%)
|
- ●検査数
- 3,321件
- ●検査対象農薬数
- 33農薬
- ●農薬検出数
-
総計: 22件(0.66%)
国産品: 13件(0.48%)
輸入品: 9件(1.44%)
- ●基準値を超えた数
-
総計: 0件(0.00%)
国産品: 0件(0.00%)
輸入品: 0件(0.00%)
|
食品と残留農薬のまとめ
検査の結果、食品に含まれる残留農薬の基準を超えない物は、そのまま家庭に並び、超えるものは焼却などの処分がされる。
しかし、食品の全てが残留農薬の検査がされるわけではないし、それはあまり現実的でもない。
そこで問題になるのが、生産者の農薬に対する安全性にどれだけ関心があるかと、消費者の考えるモラルが、生産者側にあるのかによって、残留農薬の問題が左右されることです。
それがゆえに農薬が生産者にとってメリットがある限り農薬は使用され、食品への残留農薬の問題がなくなることはない。
消費者として思うことは、いくら基準を超えなければ、一生涯摂り続けても害はない、といわれても毒性があると分かっているものは、出来るだけ口にしたくはない。
それに、このところの食の安全に関する不祥事を見ると、生産者を手放しでは信用できない。